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「青色発光ダイオード 日亜化学と若い技術者たちが創った」/テーミス編集部/テーミス

青色発光ダイオードの発明者として知られる中村修二氏について、
辛らつに批判的な立場で書かれた唯一の本。(だと思う。)

ブログでは、スタンレーから日亜化学の技師長に転じた小山稔さんの本についても
2005年11月に感想を書いているのでTB記事を参照してください。

著者がテーミス編集部?
出版社がテーミス
副題が”日亜科学と若い技術者たちが創った”?

初版発行は2004年3月30日、
新聞広告で見かけて、図書館でリクエストしたのだけれど
最初は日亜化学の関係者が書かせたトンデモ本なのかと思っていた。
そう思って、手を出さなかった人はおそらく多いと思う。

実際は、
青色発光ダイオード実用化から続く日亜科学の多くのすぐれた
発明・ブレイクスルーの背景について、詳細に書かれた
とてもまともな本だった。それが一番の驚き。

偏見や思い込みは、判断を誤らせるが、ただ多くの人がそうであるだろうことを
考えれば、この本の出版意図には首をかしげてしまう。
別の方法で出版されなかったのは何故なのか?

エンジニアとして働く自身の立場からみて、
ここで書かれた技術的ブレイクスルーや量産への移行過程は
きわめてリアリティを伴う説得力があって、事実だろうと感じた。
多くは、きちんと調べればわかることでもある。
(金銭面的な面や、取引などの点については、判断できないので
 意見を述べるのは止めておきます。)

だからこそ、時折入る著者?の一人称の
感想や意見が、余計なもののように思えた。
誘導などいらなくて、ただ客観的な事実を述べれば良かったと思う。

青色発光ダイオードをめぐる裁判の渦中、
四〇四特許に価値がないというのなら日亜化学はその権利を
中村氏に譲ればよいのにと思っていた。
どれだけの価値があるのか、そうすれば客観的に証明されると..。

あれから、時間がたち、
日亜化学は四〇四特許の権利を放棄した、
つまりこの発明に価値はないという
自らの主張を証明したということになる。

考えてみれば、特許に関連した訴訟にはビジネスに直結した
単純でない多くの駆け引きがあるということだと理解した。

真実は当事者以外、100%明らかにはならないだろうが、
研究者、開発者、経営者として実業に生きていく限り
その成果で、実績で、
答えは明らかになっていくだろう。

相次ぐ元社員による企業への特許訴訟を見ていて、
会社側の意見や識者の論調には、納得できないものがあるので、
中村氏の主張への共感はまだ強い。

中村修二氏の、新たな成功には期待している。