2004年夏、犬坊里美27才、
司法試験に受かって、岡山での司法修習生としての研修が始まる。
「龍臥亭事件」からもうそんなにたったのかと思う。
犬坊里美の視点で語られる物語は、多分はじめて。
正直、こんなに頼りないタイプだったかなという戸惑いが少し。
弁護側修習生として臨んだ初めての公判「美作総社宮殺人事件」、
勇気を振り絞って特例を求めて発言したシーンなのに、
あの口調で語るのは今までの里美のイメージからは想像できなかった。
(激しく緊張するとそうなってしまうと説明されるのだが。)
ただ、だからこそ、無茶で無謀なやり方でも、
最後にやり遂げたことが対比で輝いてくるのかも知れない。
島田作品としては、新しい世界。
「龍臥亭幻想」より、個人的には楽しめました。
とにかく修習生としての生活もまだ始まったばかり。
修習生仲間、尾登、芹沢、
それに今は仇敵状態の検事志望の添田紀子との絡みがどうなるのかも気になる。
案外、この後でいいライバルとして友情を育んでいきそうな気もする。
(本書ではほとんど絡みがなかった牟田・馬渕の両君は?)
新作も期待したい。