2006年(135回)直木賞受賞作。表題作を含む6編からなる短編集。
「器を探して」
「犬の散歩」
「守護神」
「鐘の音」
「ジェネレーションX」
「風に舞いあがるビニールシート」
森絵都さんの本を読むのは初めて。
重く重厚な感もある表題作「風に舞いあがるビニールシート」から、
軽妙なやりとりにニヤリとしてしまった「ジェネレーションX」まで
バラエティに富んだ短編が綴られている。
個人的なBESTは、ニシナミユキの「守護神」。
ニシマミユキのくだりもわらってしまった。
少ないページ数で、また劇的な事件もないのにもかかわらず、
軽く読み進めていくうちに
主人公の人生やその世界に引き込まれていく・・
その度合いが、最近読んだ短編のなかでも特に強かった。
こういう短編小説を自在に即興で書ける人のことを
生粋のストーリーテラーというのだろうなと思いながら読んでいた。
巻末の森絵都さん本人による謝辞や、参考資料一覧をみて、
実際は、練り上げて創造された作品群なのだと思われて
すこし安心しました。
もっと長い小説も読んでみたいと思う。