road2vのブログ - a little white rooster

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「瀕死のライオン 上・下」麻生幾/幻冬舎

北朝鮮が諜報のTargetになった小説を今年だけでも、何冊も読んできた。

欧米の作家が、かつての米国VSソ連、昨今では対独裁国家や対テロリストを
テーマに多くの小説を書いてきたように、今の日本にとって
朝鮮半島や中国、台湾の状況は特別な周辺事情になってきている。

(韓流ブームで韓国事情に親しんだことや、拉致被害者の報道で
 北朝鮮の知識にふれる機会が増えたこともあるだろう。)

自衛隊のより選られた精鋭中の精鋭、特殊作戦部隊「特殊作戦群(SOG)」、
わずかな所帯で日本の諜報を支える「内閣情報調査室(CIROサイロ)」、

特殊作戦群(SOG)への選抜試験、
果てしなく思える試練を経て合格した後の
また苛烈な教育課程「特殊作戦過程(エス)」を
物語のひとりの主人公となる清田武と一緒に経験する。

さまざまな制約の中で、縦横無人の活躍をする
内閣情報調査室(CIROサイロ)」国際部顧問:真中紘太。

上巻を読み進めていく時点で、北朝鮮もののBestだと思ったが・・
下巻に入って、
いままで読んだ諜報小説の中のNo.1かもしれないと思った。


とにかく特殊作戦群の群長:剣先巌はじめ
隊員たちのプロフェッショナルな技と生き方には惹かれるものがある。
(家族と交わす言葉の温かさと信頼がまた良い。)

それは定年も意識するようになり、実効的な権力を持たない中で
29年の経験と築き上げた人脈・ネットワークをもとに
奮闘する真中の仕事ぶりもそうだ。

現代の日本を舞台に、日本のプロフェッショナルたちが、
絵空事でないリアルな闘いをする部分が、海外小説とは決定的にちがう
この小説だけの特別な魅力。

そして、OPERATION

彼らの成し遂げた成果(これがまた日本でしかありえないこと)。
そしてその最期。
また何度か読み返しながら心にのこるものを確かめている自分がいた。

書名の”瀕死のライオン”が象徴するものが、
多分この小説の核であり、そして魅力のすべてでもあると思う。

オススメです!