road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「ミラコロ」高山文彦/ポプラ社

上京してから18年、TVの映像番組の仕事で世界を渡り歩くようになって10年、
つかの間の休暇。

故郷の映画館:喜楽館が解体される前の最後の上映会のチケットを送られて
主人公:甲斐敬介は故郷に帰る。

映画「ニューシネマパラダイス」は好きでLDも購入して何度も見ているのだが、
レンタルビデオもDVDもない、TV番組の録画もまだ稀少だった時代を
知っているちょうど私より上くらいの年代には
映画や映画館はちょっと特別な存在でいる。


飛行機を降りて、JRに乗って山と峡谷を里を終点まで。
主人公が振り返る思い出、現在の車窓からの風景。
作家の高山文彦さんは、宮崎県高千穂の出身。故郷への思いは
なにがしか反映されているのだろう。

車両で乗り合わせる人たち、途中の駅で乗り込んでくる人たち、
それぞれおなじように喜楽館をたずねようとしている。

すこしずつ言葉を交わすうちに、父母や幼少時の自分とのかかわりを
みつけだして、主人公の心が開かれていく。

こういう小説もよいなと思う。

私も、友人や兄弟の結婚式などであわただしく帰省することはあるのだけれど、
ゆっくり振り返るような旅もしてみたい。