主人公：立花耕一は、高い視聴率を誇るニュース番組＜ナイトステーション＞
のニュースキャスター。その制作会社は、オフィス・テン。
もちろん、実在の番組＜ニュースステーション＞とキャスター：久米宏さんを
モデルにしている。（制作会社はオフィストゥーワン）
この本が出版されて本屋の店頭に平積みにされていたとき(2001年）は、
まだ久米さんの契約更改or降板のうわさがHOTな話題だったと思う。
現実との距離が近すぎて結局ぱらぱらながめる程度でとおりすぎてしまった。
すっかり時間がたって改めて、落ち着いて読んでみました。
いくつかある山川健一さんの作品のラインの中で、
実在（現役）の著名人をモデルにした小説には
THE ARFEEの高見沢俊彦さんを主人公にした「蜂の王様」がある。
あの小説を読んだときの鮮烈な感覚は忘れられない。
それ以外のラインの小説とはまたちがう特別な魅力がある。
本作でも、その特別な感覚は味わえた。
その時代の雰囲気も、質感も鮮やかに切り取られて生々しくよみがえる。
作品のなかで、メディアの支配者がテレビニュースネットワークから
インターネットへの変っていくということが暗示されるのだけれど、
あれから5～6年で、確かに多くのことが変った。
山川健一さんの書いたこのラインの小説をまた読んでみたいと思う。
