road2vのブログ - a little white rooster

Windows10 64bit化、書庫:PC(パソコン)関連作りました。

「ノーサラリーマン・ノークライ2 ミスター・シープ」中場利一/幻冬舎

主人公:金子(カネテツ)は、4大メガバンクのひとつに勤める銀行員。

前作「ノーサラリーマン・ノークライ」から、いくらも経過していない時期を
描いた直接の続編。
恋人チナツ/親友サージ、それに新・旧の同僚たちもそのまま登場する。
こういう形の続編だとは思わなかった。

最初、拍子抜けした気持ちで、同様な(?)ストーリーが続いていくのを
興味を失いつつ追っていたのだが・・

何がしかの結末を迎えたはずの物語。
現実には、生活は続いていく。

そして時間は確実に過ぎていくし、時は戻せない。
人は、良くも悪くも時間とともに変っていかざるを得ない。

そういうことを、強く実感させられる小説になっていた。
# この小説は、前作を読んで、そしてしばらくたった後で読むべきものだと思う。

前作では、主人公もまだ若く新人に近い行員、
銀行内でエリートであるわけでもなく、仕事も職場の人間関係も問題だらけ。
若さで、日常をのりきりながら、
まだ転職など新しい世界へ逃れる可能性が大きな希望でもあった印象だった。

あれからそれほど時間がたったわけでもないのに、新しい上司や部下、
それに同僚も入れ替わっていくなかで、主人公は仕事を続けている。

過労で倒れて植物状態になる同僚。
部下の策謀で関連会社に追いやられる人間。
策に溺れて墓穴を掘る先輩。
自分の価値観を貫く上司。

仕事も人間関係も問題があるのは相変わらず。

だが、そのなかで右往左往するだけでなく、
主体的に動きはじめている少しだけ成長した主人公がいる。
{成長しなければ、物語も成立しないのかもしれないが。}

主人公が、同じ職場で同じ仕事を続けるという縛りが、
このリアリティを生んでいると感じた。

さらなる続編があったら、本作を手に取った時とはちがった期待感で
読み始めることになると思う。