5年間の戦いの記録。
道路関係四公団民営化推進委員会の任務を全うした
二人!?・猪瀬さんと大宅映子さんには心からお疲れ様でしたといいたい。
(ほとんど交通費程度のボランティアベースで
年30万円程度の報酬だったと明かされている。)
猪瀬直樹さんのことは、小気味よい発言に好感をもつことはあっても
それほど好きだと思うことはなかったが、
本書を読んで尊敬に値するひとだと思った。
批評や批判は、誰でも簡単にできるし、そのことに
ほとんどの場合責任は伴わない。
100%、誰でも認めるような、正解や成功をなし遂げるよりも、
混沌としたなかで、わずかな(そして確かな)一歩を
実現する方がはるかに困難だということは、
私にもわかるようになった。
今の日本は、こんなふうにしか進めていけない問題を
いくつもかかえている。
簡単に白・黒はっきりつくような解決方法はないだろう。
この本の価値は、エピローグ冒頭に猪瀬さんの言葉で語られている。
「歴史がどうつくられるか、たぶんそれはいかに記録されるかで左右される。
実際に起きた出来事と主役たちの思惑、それが記録され伝えられるときには
かなりの落差があると僕は思っているし、読者もまた同じだろう。
正確な記録がフィードバックされるとき歴史はつぎのステップへと這い上がるのだ」
(前著「道路の権力」の冒頭に書かれた言葉の再録らしい。)