東野圭吾さんが、6回目のノミネートで先日直木賞を受賞した作品。
おもしろい。読み始めて最後まで一気に読み終えた。
その後で、なんどか読み返してもその都度、感じるものがある。
真実が(初めて)明かされるシーン。
初めて会ったその日のことを回想するシーン。
そして最後のシーン。
友人である二人の天才「数学者]と「物理学者」がその頭脳でたたかう。
衝撃のトリック。
でもやはり、登場人物たちの心の動きが、この小説のクオリティを決定している。
物語の梗概だけ抜書きすれば、こんなアイデアは初めてということだけになってしまうかもしれない。
それをこれだけ完成された”作品”にする力は、
「秘密]、「白夜行]、「トキオ」、「幻夜」e.t.c
東野圭吾さんが近年の著作で築きあげてきた"もの"の最新の結果なのだと思った。
淡々と語られる物語。
それなのに読者である私の感情は次第にゆすぶられて、
怒ったり、悲しんだり、うれしくなって涙がでたりしている。
個人的には、とても勇気づけられる。
クオリティの高さをもとめて、精進を続けていれば高みに達することのできる
実例であるから。
東野さんの、発言やコメントをみていると、
今後もまったく現状にとどまる気はないらしい。
意識的に行われた結果の上質なエンタティメント。期待してます。