直木賞作家の奥田英朗さんが、船に乗って港町に入る旅というコンセプトを
テーマにして、編集者・カメラマンと一緒に日本全国(韓国・釜山も)の港町を旅した
ドキュメント。
美味しい食事と、地元の人とのふれあい・・。奥田さんの語りがスゴイ。
こんな人とは想像していなかった。楽しい。
でも、「最悪]も「邪魔]もリアルなつらさを書き綴っているのに
最期になるようになるという開きなおった爽快感めいたものがあったのは、
奥田さんのパーソナリティによるものなのかも?
本編との関係は不明なれど、ソフトカバーの表紙の写真が鮮烈。
最近装丁に写真をつかった本が少なくなっている気がするけれど、
この本の装丁を見ると写真にはエネルギーがあると思う。
[五島列島編]の中の、思わず共感したフレーズ。48p
「わたしはいっそシロクマにでも生まれ変わりたい。天敵のいない北の氷の上で、
誰とも群れず、一人悠々と生きていたい。わたしに取り柄があるとすれば、
孤独と退屈に強いということだ。華やかな暮らしをしたいなんて少しも思わない。
誰かに頼られたいとも思わない。無趣味。怠け者。それで結構。なにもしないことに
罪の意識など覚えない。旅だって、いらない。」
最後のは連載雑誌(旅)の根幹否定だと、同行したユカ編集長につっこまれて
本人もすぐ打ち消してますが・・。
私の場合、20代の頃
池袋サンシャイン水族館にいったときに、マンボウになりたいと思った。
これだけ大きくなれば、敵にも襲われないだろうし..