芦原すなおさんの長編小説
あたたかみのある装幀
副題は、
「ロックを再び見出し、
ロックに再び見出された者たちの物語」
芦原すなおさんの1991年直木賞受賞作「青春デンデケデケデケ」は、
完璧に秀逸な青春小説なのだけど、
印象が鮮烈すぎて、もう30年も前なのだと
改めて知って驚きました。
(のちに完全オリジナル版が出版された時に文庫を購入して読んだのだけど
それも1995年くらいなのか。。)
本作の主人公:藤原竹良(ちっくん)こと藤原竹良の
高校卒業後、そして今に至るまで人生の物語
分厚い本、そして高校時代の3年とはちがって
その後の何十年もの人生がつまった物語なのだけど、
一気に読み終えました。
おもしろかった!
主人公:ちっくんが再びバンドを組むことになるメンバ
との運命の出会いを描いた
5章 ちっくん、ふたたびエレキを手にする
から
越後のギターマン:唐松忠夫(忠夫)
八王子一の孤独なドラマ―:殿塚護(マモルくん)
6.越後のギターマン
7.八王子一の孤独なドラマ―
の2人の物語をつづった
忠夫とマモルくんの出会いを描いた
8.これがほんとのマージー・ビート
そして5章の続きの物語
9.ちっくん、マージー・シーンに登場する
そして、
終章 もう一人のベースマン(露木敏之)との出会いを描いた
10. ヘイル・ヘイル・ロックンロール(ロックロール、万歳!)
何度読み直しても、
その奇跡的な出会いに嬉しくなってしまう。
芦原すなおさん、自分より20歳ちかく(18才)年上の世代なのだけど
(敏之くんも。他のメンバ忠夫くん、マモルくんは一つ下)
それぞれ別々の人生を歩んできて、それが若いころに愛した音楽が縁で
こんなふうにつながっていく
人生ってこういうこともあるんだな、
と勇気づけられるところがありました。
真面目で、寡黙で、シャイなロックンローラーって素敵だ。
50歳すぎた自分と同年台の人にも、ぜひ読んでほしい。
おすすめです。
閑話休題:
4.ちっくん、挫折する
に
ちっくんが20代の頃、デビュー時期のキャロルについてのエピソードがあります。
ミュージシャンを目指していた若者(ちっくん)の視点でとらえた
時代を共有したキャロルの姿っては、初めて読んだ気がしました。
<出版社HPの作品紹介より抜粋>
読後に読むと、芦原すなおさんの熱いあとがきがまた心にしみます。
-----
直木賞受賞から30年。
「これから先の人生で、どんなことがあるのか知らないけれど、いとしい歌の数々よ、どうぞぼくを守りたまえ!」
ロック少年たちの様々な人生!
ぼくの心がぼくに言いました。『デンデケ』だけで終わらせていていいのか、と。
それ以後の人生はどうなのだ。50年代に誕生し、60年代から70年代にかけて
次々とこの世界に生み出され、今なおいささかも色褪せることのない
奇跡のようなロックとポップスの名曲の数々を、
お前のように、日々愛聴し、自ら演奏するのを
無上の喜びとする無数の仲間が日本中にいるではないか。
数々の名曲の魅惑を、そしてそれを味わう幸せ、という
不思議な現象を小説として描き出すこと、
それこそがお前の務めではないのか、と。――「あとがき」より
-----
<作品社のHP>
https://sakuhinsha.com/japan/28690.html
<Yahoo映画のHP>こちらもよかったです。
1992年 東映 大林宣彦監督
https://movies.yahoo.co.jp/movie/90374/ (1992年)