朝井リョウさんの、長編小説
複数の登場人物の視点で、出来事をつなぎ合わせていくのは
デビュー作の『桐島、部活やめるってよ』以来のスタイルなのだけど
心理的な描写などの技術が上がっていて、ちょっとその世界観のつくりかたの
上手さに感心した。
宮部みゆきさんのスタイルを引き継いでいくのはこの人なのかな、と
ちょっと思いました。
書名の意味や、物語の全容がわかったのは
物語の終盤に至ってから。
現実世界で、多様性への理解は、この数年で確実によくなってきていると思っているのだけど
だからこそ、登場人物の一人が感じていたそのわかりやすい理解へのいら立ちの強さや
絶望感が、この物語の核になっている。
テレビの「ケンミンショー」のように、笑って共有できる常識の違いとは
別の、この小説のような世界観ってあるのだろうか?
<作品紹介>
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生き延びるために、手を組みませんか。いびつで孤独な魂が、奇跡のように巡り遭う――。
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?
絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く、
作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。
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<新潮社の特設HP>
https://www.shinchosha.co.jp/book/333063/