内館牧子さんの長編小説
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<内容紹介より>
70歳になった佐川夏江は、夫の寝顔を見ながらつぶやいた。
「今度生まれたら、この人とは結婚しない」
夫はエリートサラリーマンだったが、退職後は「蟻んこクラブ」という歩く会で楽しく余生を過ごしている。
2人の息子は独立して、別々の道を歩んでいる。
でも、実は娘がほしかった。
自分の人生を振り返ると、節目々々で下してきた選択は本当にこれでよかったのか。
進学は、仕事は、それぞれ別の道があったのではないか。
やり直しのきかない年齢になって、夏江はそれでもやりたいことを始めようとあがく。
2大ベストセラー『終わった人』『すぐ死ぬんだから』の著者が放つ最新「高齢者」小説!
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少し前に「すぐ死ぬんだから」を読んで、
その同じシリーズ作ということで、
気軽に読み始めたのだけど、
P195 の
「不発弾を抱えたまま一生を終える」という言葉
自分が人生を考える契機になった
内館牧子さんの本
「夢を叶える夢をみた」(出版は2002年末)
のおよそ20年後のアンサー小説でもあるのですね。
夏江のバイタリティ、
計算高さ、その成否も素直に受け入れるところ
如才なさも、辛辣なリアリストであるところも
嫌みがなくて好きになります。
夫や二人の息子、剛と健、
姉や姪ミキとの関係、会話もリアリティあるな。
しかし、
さすがに小説終盤のあの展開は想像してなかった。。
もうひとつ、本作の肝になっている言葉
夏江が姉から聞いた
夫の友達のボクサーが言ったという言葉(P248)
ボクシング・ボクサーへの思い入れのある
内館さんならではなのだろうな。
「相手のパンチを受けないように避けていると、間違いなく自分にパンチは当たらないから、
ダメージはない。だけど避けるということは、前にでないということだから、
自分のパンチも相手に当たらない。だから勝てない。」
自分から前にでる、
こっちのパンチを当てないことないには勝てない、
物語の終盤で、夏江の背中を押して新しい何かが動き出す。
実際、小野さんへの連絡とか
自分だったらとてもできないな、夏江さんすごいわ。
おもしろかった!そしてちょっと元気づけられた。
息子:剛の嫁:理沙
★おすすめ!
この本は、まだ若い人にも是非読んでほしい。
(自分も40歳くらいの時に読んでいたらと思った。)
この小説の後日談、剛の嫁:理沙や健のその後のストーリーを
短編でもよいから、読みたいな。
次は「終わった人」を読みます。
内館牧子さんによるあとがきで
タイガー・ウッズの2019年マスターズでの復活にまつわる
産経新聞(2019/4/16)のコラムが紹介されています。
「昔のウッズが、そのまま帰ってきたわけではない。」
「人は蘇ることができる。
ただしかつての姿を追うのではなく、何者かに変身しなくてはならない。
これがウッズから受け取る、あらゆる分野に通じる教訓かもしれない。」
<講談社BOOK倶楽部のHP>
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000347826
<幻冬舎 夢を叶える夢をみた HP>
https://www.gentosha.co.jp/book/b532.html