road2vのブログ - a little white rooster

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「雨降る森の犬」馳星周/集英社文庫

馳星周さんの長編小説

衝撃だったデビュー作「不夜城」に始まる
ノワール小説の旗手である
馳星周さんが、これまでとは異なる小説を書き始めたのは
ネットの記事など見てし知っていたのだけど、
読むのは本作が初めて。

主人公は中学生の広末雨音
父を亡くし、新たに恋人を作った母親との折合いが
悪い雨音は、信州・蓼科で
バーニーズ・マウンテン・ドッグ:ワルテルと
暮らす叔父・道夫のところに身を寄せる。

そして、隣の別荘に、訪れる
高校生:国枝正樹との出会い。

自分の知っている馳星周さんの小説のテイストとは
もちろん全然ちがった。

なんだろう、
優しいというのか、自然というのか

いつもだと
若者故の、とがっていたり、幼かったりするところ、
わかっていても
読んでいて、
ちょっといらっとすることもあるのだけど
それがなかった。

散歩や食事、睡眠、ワルテルがいる生活

去年あたりから、Youtubeで犬・猫動画を見る時間が
大幅に増えて、癒されているのだけど

犬と暮らす生活・人生というのを
こんなふうに小説にできるのだな。

蓼科の自然、書名でもある雨降る森のシーン

山岳カメラマンである叔父・道夫に誘われて
正樹と一緒の初の登山のシーン

映像が浮かぶようで、映画を観ているような気分になります。

やがて成長した雨音と正樹が描かれる終章を
読むのは嬉しかった。
そしてワルテルとの別れ。

一人の少女が、
バーニーズ・マウンテン・ドッグの
ワルテルと出合って紡いだ人生を
一冊の小説にできるってすごい。

-もうひとつ、
本作の魅力は普段の食事の豊かさですね。
やはり、料理は素晴らしいと思いました。

-文芸評論家:池上冬樹さんの解説がまたよいです。
第163回直木賞を受賞した「少年と犬」読みたくなりました。

おすすめです。

<馳星周さんのインタビュー記事>
https://book.asahi.com/article/11737182

<集英社のHP> 試し読みもできます。
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-744153-6

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