村上春樹さんが、亡くなった父親のことについて書いた文章を
を本にしたもの。
普通の親子関係であれば、よくあるように
楽しいこともあれば、それほど愉快でないこともあった
中で脳裏によみがえるのは日常のありふれた風景
本書の副題であるシーンはその中でも印象的だったひとつの
エピソードです。
高妍(ガオ イェン)さんのイラストに、
不思議な懐かしさを感じます。
村上春樹さんが作家になってから、
20年以上絶縁にちかい状態にあった父親と
顔を合わせて話したのは父親が無くなる少し前、
90歳を超えて入院中の父親と、
ぎこちない会話を交わして、和解のようなことを行った・・
人さまざまだけれど、似たような複雑な関係と感情を
想像できる人はたくさんいるのではないかな。
あとがきの、
いわゆる「メッセージ」として書きたくはなかった。
歴史の片隅にあるひとつの名もなき物語として、できるだけ
そのままの形で提示したかっただけだ。
という言葉を、
この本は実現していると思います。
<文藝春秋:『猫を棄てる 父親について語るとき』特別サイト>
https://books.bunshun.jp/sp/nekowosuteru
<文藝春秋:『猫を棄てる』の表紙と挿絵を描いた高妍さんからのメッセージ>
https://books.bunshun.jp/articles/-/5386