伊坂幸太郎さんの長編小説。
主人公は、中堅のお菓子メーカーに務める主人公:岸
サラリーマンなら誰でも一度は感じることのある
理不尽さにも追われる中で
それなりに平和に続いていた生活の中で、
最近テレビなどでも目にすることが増えた
ハシビロコウの画像をきっかけに
普段なら縁のなかっただろう、
芸能人:小沢ヒジリや政治家:池野内征爾と
知り合うことになる。
このあたりのストーリーのくみ上げ方は、
さすが伊坂幸太郎さん、で引き込まれていきます。
作中ところどころに、川口澄子さんのちょっとふしぎなテイスト
コミック(セリフなし)が併設されていて、
それが本編とどうつながっていくのか?
セリフ(言葉・説明)のないコミックってそれだけで
すごく想像力を掻き立てられますね。
それが現世と、もうひとつの異世界でつながっている
登場人物たちの姿を描いたものだとわかってからの終盤。
苦境に陥る主人公の姿から痛みが伝わります。
出会ってから十数年たった世界で、
3人がふたたび立ち向かう現世の災厄が
”新しい感染証”というのは
偶然とはいえ
”新型コロナ肺炎”の脅威にさらされている今と重なって
強い臨場感がありました。
物語と同じように、
戦いに勝利できることを祈ります。
作中:クジラアタマの王様は
ハシビロコウの学名(ラテン語)の意味であるとの説明があります。
<NHK出版のURL>
https://www.nhk-book.co.jp/pr/book/000000057062019/index.html