「おまえの罪を自白しろ」真保裕一/文藝春秋

真保裕一さんの長編小説

宇田晄司は、
政治家という家業に反発して選んだ会社経営に失敗し、
衆議院議員を8期務める父：宇田清治郎の秘書になって5か月。

 

宇田王国といわれる強固な地盤を埼玉にもつ宇田家に
ある日、事件が訪れる。
晄司の姪、宇田清治郎の孫：柚葉（3歳）の誘拐。

 

犯人の要求は、身代金ではなく
宇田清治郎に、「会見を開いて、自分の罪を告白しろ」というもの。

犯人の動機は何か？

埼玉県警の杉尾は、宇田清治郎に賭けられた疑惑を中心に
宇田家にうらみをもつ存在を追いかける。

 

正直、政治のどろどろした部分、現実的なグレイさなど
リアリティがある分、すっきりせず気分はよくないのだが。。

 

そんな中、娘を誘拐された姉、そして家族を思う
晄司が、宇田家が追い詰められる中で、
覚醒して、逆転劇をしかけるところ、

杉尾も認識できてなかった事件の真相をかぎつけ
それさえも、利用するところ

ちょっと「半沢直樹」を彷彿させるところがあって
それが本作の、驚きの魅力。

 

晄司の会社経営失敗の真実。

 

そしてEnding、

 

身勝手な感じもあるけれど
家族や一族が自らの信じる幸福のために動いたり
ある時は助けあうところは
人間の基本的な特性として共感してしまう、ところがあります。